8月26日(日)に開催された、海と日本プロジェクトバスツアー「僕らは海の報道記者」。参加した子ども達が”記者”となり、京都府北部の阿蘇海で起こっている事件について取材を行いました。阿蘇海で起こっている事件とは!?
阿蘇海(あそかい)といっても、京都の北部以外の地域にお住まいの方以外にはなかなか馴染みのない響きですよね。阿蘇海は、天橋立によって隣の宮津湾から切り取られたように存在する海です。反対側の宮津湾はキレイな海で、天橋立の東側(写真では右側です)にある海水浴場は、京都でもトップクラスの水質を誇ります。しかし、天橋立の西側(写真では左側です)にある阿蘇海の水は汚れているため、泳いだりすることは禁止されています。見た目にも水が汚れているだけでなく、悪臭などの問題も・・・!
天橋立を隔てただけでお隣同士の海なのに、どうしてこんなに違いがあるのでしょうか??NPO法人 丹後の自然を守る会の蒲田理事長にお話を伺いました。
かつてはイワシなどの魚もたくさん獲れ、美しく豊かな海であった阿蘇海。なぜ阿蘇海は汚れてしまったのでしょうか?その答えは阿蘇海に流れ込む水と、お隣の宮津湾との水の行き来にあります。
図①を見てみましょう。阿蘇海には、周囲の川からの水が流れ込んでいます。川には、阿蘇海周辺で暮らす人々の家からでた、生活排水(せいかつはいすい、私たちの日々の暮らしで流す水です。トイレやお風呂、洗濯に使った水など。)が流され、それが阿蘇海に流れ込みます。私たちの生活が豊かになるにつれ、阿蘇海へ流れ込んでいく水は汚れたものになっていったのです。
汚れた水が阿蘇海にどんどん流れていくにも関わらず、阿蘇海の水と隣の宮津湾の水が行き来するのは、ほんの一部分(図①の赤丸部分)だけなので、汚れた水はなかなか外へ出て行かず阿蘇海にたまっていきます。私たちの生活で使われて海に流された洗剤や農薬、畑に使う肥料などにふくまれるちっ素やリンという物質は、植物プランクトンの食べ物になります。植物プランクトンは小魚や貝の食べ物になります。私たちにとっては汚れた水ですが、植物プランクトンにとっては栄養たっぷりの水なんですね。
つまり、「生活排水が海へ流れ込む」→「生活排水に含まれる物質を食べるプランクトンが増える」→「プランクトンを食べる生き物が増える」ということです。
そして今、阿蘇海で大きな問題になっているのが、カキ(フルーツではなく貝のほう!)の大量発生です。
カキといえば、ぷりっぷりで、生で食べても焼いてもおいしい貝ですよね。そんなカキがたくさんいるなんて、ラッキーじゃないの?と思うかもしれませんが、処理などが大変なので、商品にするのはなかなか大変なようです(一部は漁師さんが獲ったり、加工食品として販売もされています)。そしてカキはどんどん増えていき、カキが死んだ後にはごつごつした大きな貝がらだけが残されます。この貝がらをカキ殻(かきがら)と言い、このカキ殻によって、困ったことが起こっています。
カキ殻は水の流れで一箇所に集まり、阿蘇海から宮津湾に水が流れていく場所に「カキ山」と呼ばれる山ができました。このカキ山、見た目が良くないことや腐ったカキによって悪臭を放つだけでなく、阿蘇海と宮津湾の水の行き来の妨げになっています。
図②のように「カキ山によって水の行き来が邪魔される」→「阿蘇海の汚い水が余計に外にでていかない」→「さらにプランクトンが増える」→「カキが増える」→「カキ山が大きくなる」という悪循環ですね!
このままでは増えすぎたカキによって、阿蘇海の環境はさらに悪くなってしまいます。そこで、キレイな阿蘇海を取り戻そうという活動を行っているのが、蒲田理事長や国際ボランティア学生協会に所属する大学生たち。
一体どのような活動が行われているのでしょうか?→活動についてはこちら
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■「僕らは海の報道記者」~②阿蘇海をキレイにする取り組み!編~
■「僕らは海の報道記者」~③回収されたカキ殻はどうなるの?編~
イベント名 | 海と日本プロジェクトバスツアー「僕らは海の報道記者」 |
参加人数 | 25人 |
日程 | 2017年8月26日(土) |
場所 | 天橋立周辺 |
主催 | 海と日本プロジェクトin京都実行委員会 |