日本三景の天橋立の西に位置する阿蘇海。
天橋立によって宮津湾から仕切られてできた阿蘇海では、水質汚染や生態系・景観の破壊や海ゴミによる悪臭等が問題になっています。
阿蘇海を守るために様々な取り組みが行われているということは、先日の番組情報でもご紹介しましたが、実際にどのような活動が行われているのでしょうか。
かつて阿蘇海はマイワシやアサリが取れる豊かな漁場でしたが、高度経済成長期以降に汚染が深刻化。カキやアオサが以上繁殖し、景観破壊や悪臭の発生が問題になっています。そこで、かつての美しく豊かな阿蘇海を取り戻し次世代に継承していこうと、宮津市と与謝野町では毎年阿蘇海の日を制定しました。今年は7月2日が阿蘇海の日とされ、様々なイベントが開催されました。
地元住民を招いた阿蘇海周遊体験会では、阿蘇海に親しむと同時に、環境について学んでもらうことを目的とし、NPO法人 丹後の自然を守る会の理事長で地元出身の蒲田充弘さんが講師となって阿蘇海を案内しました。蒲田さんは海の環境にとっての一番の課題は「人」だと語ります。自然のバランスを崩すのは人です。ゴミを捨てる人がいなくなり、海をキレイにする人が多くなる。そうやって海を愛する人が多くなれば美しい阿蘇海を取り戻せるのではないでしょうか。
異常繁殖したカキの殻が体積してできるカキ山。カキ山は宮津湾との海水の循環を妨げ、生態系に悪影響を及ぼしています。
そこで毎年全国の学生たちがボランティアをとして集まり、カキ殻を取り除く「カキ殻クリーン大作戦」を行っています。集められたカキ殻は近くのワイナリーのブドウ畑で肥料として活用されています。
ボランティアに参加した学生たちは、阿蘇海の環境問題が一つの大きな舞台となって、阿蘇海の周りをつなぐような大きな活動になることを願っていると言います。
みやづ歴史の館では、地元の小学生たちが阿蘇海についての研究結果を報告しました。美しい阿蘇海を取り戻すには今、何が必要なのでしょうか。
この日講演を行った京都大学大学院工学研究科付属流域圏環境質研究センターの清水芳久教授は、汚れてしまった阿蘇海の水をゆっくりと、少しずつ宮津湾の水を交換を促進していくことが必要だと言います。しかしヘドロを取り除くといった作業や取り除いたヘドロの行き先などの問題もあります。
海のゴミを回収する必要があるのはもちろんですが、海にゴミがいかないようにすることも大切です。外で出たゴミはきちんと持ち帰って処理をすることで、海の環境を守っていきましょう。
様々な伝統を受け継いできた京都ですが、美しい景観もまた私たちの大切な財産です。
それらを次の世代に受け継いでいくことが、今を生きる私たちの役目ではないでしょうか。
この内容は、7月11日(火)にKBS京都「おやかまっさん」(10:30~11:55)で放送されました。
後日YouTubeにもアップ予定ですのでお楽しみに!