こんにちは!京都大好きライター、沢本ゆきです。
早速ですが、皆さんは『海』といえばどこを思い浮かべますか?
古来より日本には、たくさんの美しい海の景勝地がありますが、その中でも特に「海といえば与謝の海」、つまり天橋立が良いと言った人がいます。
その人こそ清少納言、そう、日本最古の女性エッセイストであり、私たちの偉大なる大先輩ですね。
清少納言といえば、ご存知『枕草子』です。
私たちも中学や高校の頃、古文の授業で習いましたね。「春はあけぼの―」で始まるシンプルな文章は、難解な万葉集や漢文にくらべれば読みやすいものの、正直「平安時代の宮中でなにが流行ってるとかどうでもええわ」と思ってました。ごめんなさい。
そんな私が物書きとなり、日本のエッセイの起源ともいえる枕草子をもとにエッセイを書くのですから、運命とは不思議なものです。いとをかし。
枕草子を現代風の女の子っぽく訳すと、「夏はやっぱ夜だよねー」「ホタルまじカワイイ」「雨ってなんだかロマンチックぅ」みたいな感じで(筆者の個人的なイメージです)当時の様々な風物詩がいきいきと描かれているのですが、その中の『海』についてのくだりが、先述した「与謝の海」です。
「海は水うみ。与謝の海。かはふちの海」
水うみは琵琶湖、かはふちは河内もしくは川口、つまり淀川河口の大阪湾、そして与謝が、天橋立のある阿蘇海から宮津湾のことだといわれています。
この地は平安時代どころか、それ以前の奈良時代からすでに理想の風景として有名で、多くの歌にも詠まれてきた名勝地でした。海の青と、山の緑と、白砂が織りなす絶景は、当時の文化人たちの心をつかんで離さなかったことでしょう。
清少納言が宮中で「今年は海どこいくー?」「やっぱ与謝の海っしょ!」「清ちゃんイトオカシー」とか言ってたかどうかは定かではありませんが(あくまで個人的なイメージです)、与謝の海は1000年以上たった現在も、日本有数の美しい海として知られています。
最近では海外からの観光客も多数訪れるこの地に、皆さんも古代中世の風情を思い浮かべながら、みやびやかな旅を楽しまれてはいかがでしょうか。
ちなみに私は決して清少納言になりたかったわけではなく、どちらかというとドラマチックな『源氏物語』を書いた紫式部の方にあこがれていたんですが、人生とは、そうそう上手くいくものでもありませんね。もののあはれ。