伊根湾の入り口に浮かぶ島、青島。青島は自然の防波堤の役割を担っているため、伊根湾内の波は穏やか。そのおかげで伊根では舟屋の文化が発展したともいえます。古来より伊根浦を守り続けてきたこの青島ですが、古来より”神が宿る島”、”聖なる島”とされ信仰の対象にもなってきました。青島とはいったいどんな島なのでしょうか。
青島の名前の由来は、島が常緑樹に覆われており青黒く見えるからだと言われています。伊根湾内から青島を見ると一つの島のように見えますが、実は2つの島。現在2つの島の間には橋が架かっていますがどちらも無人島です。島内には蛭子神社があり、周辺の漁民たちの信仰の対象とされてきました。今でも、伊根祭やおべっさんといった祭礼の際には船で青島に渡った人々が蛭子神社に参拝します。
伊根湾ではかつて捕鯨が行われてきました。伊根町に残っている「鯨永代帳」という古文書には明暦2(1656)年から昭和2(1927)年まで約350頭超のクジラがの捕獲されたことが記されています。伊根での捕鯨は、湾内にクジラが迷いこむと網などで湾の入り口をふさぎ、クジラを入り江に追い込んでいくといった、伊根の地形を生かしたものでした。青島ではクジラの解体作業等が行われていたそうで、蛭子神社の参道の脇には今もクジラの墓が残っています。
このように青島は物理的に伊根浦の暮らしを支えてきただけでなく、伊根の暮らしや文化、信仰と密接に結びついてきた島です。伊根に行った際は、ぜひ青島に目を向けてみてくださいね。