皆さんこんにちは!京都大好きライター、沢本ゆきです。
京都府北西に位置し、自然がたくさん残る京丹後市久美浜町。久美浜駅の愛称として『龍伝説の里駅』と名付けられたこの町には、数多くの龍にまつわる伝説が残っています。古くから日本人の民間信仰の対象として各地に逸話が伝えられている龍。久美浜と龍にはどんな関係があるのでしょうか。ちょっとひも解いてみたいと思います。
久美浜町は昔ながらの漁師町で、夏は美しい海岸で海水浴が、冬は多くの民宿や旅館でカニや牡蠣など新鮮な海の幸が楽しめます。久美浜湾の入り口には『小天橋』と呼ばれる砂州があり、なだらかな弧を描く白砂の海岸線が美しく、日本海と久美浜湾に挟まれた地形が天橋立の風景と似ていることからこう呼ばれるようになりました。
さて、この久美浜湾ですが、全体を見てみると龍の姿のように見えませんか?また湾に張り出した大明神岬には丹波道主命(たんばみちぬしのみこと)の墓があると伝えられており、その大明神岬が海面を進む龍のように見えるため、龍の化身が住むと言われています。
久美浜に残る龍伝説のひとつで有名なのが、一遍上人の伝説。
鎌倉時代、全国を回り布教活動をしていた一遍上人が久美浜を訪れた際、干ばつによる飢饉に苦しむ村人のために念仏を唱えたところ、突然久美浜湾から大きな龍が出現し雨を降らせて村人を救ったというお話です。このことは国宝『一遍上人絵伝』にも記されています。
そのほか、湯舟坂2号墳からは2匹の龍を形どった『金銅装双龍環頭太刀』が出土したり、高龍寺ケ岳にも龍伝説が残るなど、あちらこちらで龍に関する物語があるのです。
こんなにたくさんの龍の姿が残る久美浜には、もしかしたら本当にその昔、龍が存在したのかもしれませんね。ちなみに京丹後市久美浜町土居にある『豪商稲葉本家』では、色鮮やかな龍の模型が展示されています。現代の龍に会いたい方は行ってみてくださいね。
そんな久美浜の夏の風物詩は『京丹後市ドラゴンカヌー選手権大会』です。龍の頭の船首を付けたカヌーがその早さを競い、太鼓の音に合わせて久美浜湾を走り抜ける様は圧巻!龍伝説の里ならではの催しですね。
龍と言えば『逆鱗に触れる」ということわざがありますが、普段温厚な人こそその逆鱗に触れると大変なことになってしまうんですよね。龍の背に乗ることを許されたからといって、油断してうっかりあごの下の逆鱗に触れてしまったら…多分めちゃくちゃ痛いんでしょうね。さすがの龍も感情的になりますよ。
最も触れられたくない場所は、最も触れられたい場所の裏にあるのです。美しい想い出の裏に、哀しく切ない想い出が隠されているように……(涙)。どうぞ皆様も、誰かの逆鱗に触れてしまわないようお気をつけて!