毎年7月24日に宮津市の智恩寺で行われる「文殊堂出船祭(もんじゅどうでふねまつり)」。
智恩寺に残る伝説「九世戸縁起(くせとえんぎ)」を再現したイベントで、松明が灯された海上舞台の上で太鼓に合わせて舞う金銀2頭の龍は圧巻!
例年、クライマックスには約500発の打ち上げ花火が天橋立をバックに打ち上がり夜空を彩りますが、今年は花火の打ち上げはありません。花火は中止になってしまいましたが、祭り自体は今年も行われるそうです。一体どんなお祭りなのでしょうか?
「九世戸縁起(くせとえんぎ)」とは、智恩寺に残る書物で、智恩寺建立の由来や伝説が記されています。伝説「九世戸縁起」には、日本神話に登場する多くの神々の生みの親である「いざなぎのみこと」と「いざなみのみこと」が登場し、観世流謡曲「九世戸」の素材にもなっているのだそう。
太古の昔、「いざなぎのみこと」「いざなみのみこと」という神様が、日本列島、そして天橋立をお造りになりました。この神様が出来上がった地上をご覧になりますと、悪い龍が大暴れしていて人々が住む事ができません。困った神様たちは、毎日相談されました。やがて、いざなぎのみことの申されますには、「中国の五台山におられる文殊菩薩は智恵第一の仏様で、昔から龍神の導師である。悪龍もきっと改心するであろう」と。そこで神様たちは、五台山から日本海の荒海を越えて、文殊菩薩をお迎えされたのであります。文殊菩薩は千年の間、この地でやさしく慈悲の心をもって説法をされました。龍はあつまって教えを聞き、すっかり感心して今後は仏法を信じ、人々を護る神々になると誓いました。
これが九世戸縁起の伝説です。そしてこの伝説を再現したのが文殊堂出船祭なのです。荘厳で幻想的な海上絵巻が再現する日本の神話の世界、一度は見てみたいですよね。
ところでみなさん、「三人寄れば文殊の知恵」ということわざを知っていますよね?
九世戸縁起の伝説が残る智恩寺は、実はこのことわざの「文殊」として知られる文殊菩薩(もんじゅぼさつ)様をおまつりされているお寺で、奈良の安倍文珠院、山形の大聖寺と共に日本三文殊の一つとされています。
お寺の山門前に並ぶ四軒の茶屋では、智恵授かりの縁起物として、昔から「智恵の餅」を販売されており、 今でも天橋立の名物として人気なんだとか。 智恩寺にお参りの際はぜひ智恵の餅も食べてみてくださいね!