7月の京都といえば「祇園祭」。7月17日の山鉾巡行が有名ですが、実は祇園祭は7月1日から31日の1ヶ月間行われている行事です。今年は新型コロナウイルスの影響により、前祭と後祭の山鉾巡行が中止となりました。山鉾巡行が中止となるのは58年ぶりのことなので、初めての体験になる人も多いのではないでしょうか。
仕方がない事とはいえ、夏の風物詩がなくなるのはやっぱりなんとなく寂しいですよね。そんな時だからこそ、夏の京都の味覚「鱧(ハモ)」を食べて、京都の夏を感じでみてはいかがでしょうか。
祇園祭が別名「鱧(ハモ)祭り」とも呼ばれ、祇園祭シーズンになるとあちこちで鱧を食べることができます。料亭はもちろん、居酒屋や屋台など至る所で見かける鱧。スーパーのお刺身コーナーなどでも売っているところが京都と鱧の繋がりの強さを表している気がします。鰻と同様、食べるとスタミナがつくと言われていることからも、うだるような暑さの夏の京都には欠かせない食材で、もちろん鱧の消費量は京都が圧倒的なのだそう。
鱧は鮎のように川で獲れる魚ではなく、海で獲れる魚ですが、なぜ海から遠い京都市内で、こんなにも鱧が食べられているのでしょうか?それは、鱧の生命力がとても強いためと言われています。
鱧は本州の中部以南の沿岸に生息している肉食魚で、通常は1mほどですが大きいものは2mを超えるほどになるのだとか。「梅雨の水を飲んでおいしくなる」と言われていて、6~7月に旬を迎えます。鰻に似ていますが、比べるとかなり大きな口をしていて、さらには鋭い歯が付いています。性格も凶暴で、捕まえようとすると噛まれることも。そんな性格のせいか鱧はとても生命力が強く、冷蔵技術や輸送技術の発展していなかった時代にも、海から遠い京都の内陸まで生きたまま運ぶことができたそうです。大阪湾や明石でとれたハモが生きたまま京都にやってくるって聞くとすごい生命力ですよね。
鱧のもう一つの特徴といえば、その小骨の多さ。そのため小骨を気にせず美味しくハモを食べるために、京都では、皮1枚を残して身だけに細かい切り込みを入れる骨切りの技術が発達したそうです。骨切りしたハモを湯引きすると、身がふわっと開いてまるで白い花のような見た目に。これを梅肉でさっぱりいただくと、夏の京都のうだるような暑さも和らぐ気がしますよね。
この季節にちょうど旬を迎える鱧。夏の味覚・鱧を食べて、いつもと違う京都の夏を元気に乗り切りたいですね。