2025年11月9日(日) 京都府立京都学・歴彩館で近畿「子どもの水辺」交流会が行われました。
近畿「子どもの水辺」交流会は、子どもたちの「水辺」への関心の向上、水辺活動の継続·広がりを推進する取組を進め、共につくり、守り、育てる「水辺づくり」に寄与することを目的に、水辺で活動する子どもたちが活動の成果を発表し、おたがいに交流し合う場所となっています。
今回の開催のテーマは “つながり” 「参加者同士のつながり」「流域でのつながり」「世代を超えたつながり」「そして、将来へつながるために…」
あいにくの雨模様で、鴨川で行う予定の体験プログラムは場所を変えての開催となりましたが、参加した子どもたちは元気いっぱい。場所が変わっても、体験プログラムや発表に意欲的に取り組んでいました。
「川漁師体験」講師/加茂川漁協共同組合
投網やアユ竿に挑戦する子どもたち。慣れない手つきながらも、みんな一生懸命に取り組んでいました。
本来なら鴨川でたくさん「投げる側」の体験をする予定でしたが、雨のため場所変更。代わりに「投げられる側」魚の気持ちになって網に入る体験をすることも。思いがけない展開でしたが、まるで魚になったような気分を味わえる、忘れられないひとときとなりました。
「水槽づくり」講師/少年の水族館Outdoor Aquarium
日本や世界の水辺環境を「アウトドアアクアリウム」として再現し、YouTubeやInstagram、TikTokなどで発信している「少年の水族館」。水槽づくりの実演を通して、自然の魅力や環境の大切さをどのように伝えているのかを教えてくれました。
石などを丁寧に配置しながら、ひとつの風景が水槽の中に立ち上がっていく様子に、子どもたちは目を輝かせていました。
「鳴き砂体験」講師/琴引浜の鳴り砂を守る会
琴引浜の鳴き砂を持ち込んでの体験学習。子どもたちは「クックッ」と自分の手で砂を鳴らしてみて大はしゃぎ。その澄んだ音に、自然の不思議と美しさを感じているようでした。
でも、砂にほんの少し小麦粉を混ぜると、音はぴたりと止まってしまいます。鳴き砂が鳴くのは、浜辺がきれいに保たれているからこそ。実験を通して、子どもたちは「この砂と海を汚してはいけないんだ」と実感していました。
「水質調査」 講師/共立理化学研究所
良い水と悪い水とは?
用意されたのは、鴨川の水、ミネラルウォーター、食器を洗った後の水。それぞれの水について、色やにおいを観察し、pHやアンモニウムの量を測定しました。子どもたちは真剣な表情で、試薬で色の変わった水をそれそれの標準色と照らしていました。
水の見た目だけではわからない「良い水・悪い水」の奥深さを知る、貴重な学びの時間となりました。
「川魚料理の試食」 講師/京の川の恵みを活かす会
お昼休みには、ゴリ(ヨシノボリ)料理が準備されていて、みんなで試食をしました。今では川魚を食べる機会はめったにありませんので、子どもたちにとっては川の恵みを味わうひとときは新鮮な体験だったようです。
午前中に体験プログラムを楽しんだ子どもたち。午後からは、それぞれの活動成果を発表する時間です。今回の交流会には、全国から14団体が参加しました。
発表する側も、質問する側も、最初は少し緊張気味。互いに探り探りのやりとりでしたが、時間が経つにつれて、次第に笑顔が増え、活発な交流が生まれていきました。
自分たちの体験を言葉にして伝えること、相手の話に耳を傾けて質問すること。その積み重ねが、子どもたちの学びとつながりを深めていく貴重な時間です。
近畿「子どもの水辺」交流会は、2008年に第一回が、その後、近畿各府県が順番で小·中学生等が学校や地域で取り組んでいる水辺活動や調査等を発信する場として開催されてきました。扱うテーマは水に関わる活動であればなんでも大丈夫だということです。
近くの川での活動が中心となっているようですが、自然はすべてがつながり、互いに支え合っています。山に降った雨は川となり、川は海へと流れ、海はその豊かな恵みで私たちの命を育んでくれます。山が緑であれば川は澄み、川が清らかであれば海も豊かになります。
この交流会に参加したことをきっかけに、今は運営スタッフとして活動されている方もいらっしゃるそうです。水辺活動や調査等に取り組んでいる子どもたちが自然の循環に感謝しながら、一人ひとりが自分のできることを見つけてくれたら素晴らしいですね。