天橋立はその美しい景観で知られていますが、いくつかの環境問題に直面しています。
特に深刻なのが、松枯れ、倒木、土壌の富栄養化といった松に関する諸問題です。これらの問題に対処するため地域では地元のボランティア団体や行政が協力して、松並木の保全や環境教育活動を行っています。
白砂青松といわれる天橋立を支えている松がどのような問題を抱えているかを知ることで、わたしたちに何ができるかを考えてみましょう。
命名松
天橋立には約6700本もの松がありますが、これらの松並木の中には「命名松」といってその形状などの特徴から名前を付けられている松があります。天橋立の中をこの「命名松」を見つけながら散策することも天橋立の楽しみ方のひとつとして知られています。
命名松後継樹
命名松が、台風で倒木したり、松枯れをしたとき、その松の枝を採取して接ぎ木により新たな松として育てます。
松並木道
天橋立の松並木道は、「府道 天橋立」という府道でもあります。3.2キロメートルあって「日本の道100選」にも選ばれています。
松枯れ
松枯れはマツ材線虫病といいその病原体はマツノザイセンチュウ。マツノマダラカミキリに寄生して、カミキリが若い松の樹皮を食べる時に松の中に入り込むことで松を枯らしてしまいます。ラジコンヘリに積んだ薬剤を散布して対策を行っています。
倒木
平成16年の台風23号では約200本の松が倒れたといいます。
もともと天橋立は地下水位が高く松は根をあまり張らない状況であったので、バランスの悪い松が増えることで、台風が来ると倒木が発生します。また、現在の天橋立の土壌は栄養過多の状態にあり、根がしっかりと張ってない上、幹が高く育つようになって倒れやすくなっています。
土壌の富栄養化
松は落ち葉や落ち枝を燃料として利用でき、特に松ヤニが多く含まれている松は高温で製鉄にも利用されてきました。このような人とのかかわりが腐植土が積み重なることを避けていましたが、化石燃料への転換が進むと人と松とのかかわりが減少しました。その結果、松林の環境が変化し松林が広葉樹林に遷移し始め、光環境が悪化したり下草などが増え、幹が高く育つようになったのだと言われています。