「海のミルク」と呼ばれるほど栄養価が高く、グリコーゲン・亜鉛・鉄分などを豊富に含むカキは、古代から食べられており、現在も世界中で親しまれています。
日本では縄文時代から食用とされ、江戸時代には広島や宮城で養殖が始まったといわれています。
現在でも生食をはじめ、焼き・蒸し・フライ・グラタン・鍋・炊込みご飯などに調理されて食卓に並ぶ大人気の食材で、特に、冬は真ガキが最も美味しくなる季節です。
カキについてもっと知れば、今以上に美味しく、そして楽しくカキを味わうことができるのではないでしょうか。
種類は大きく分けて 真ガキ(冬が旬) と 岩ガキ(夏が旬)があります
<真ガキ>
小ぶりなものが多く、旨味が凝縮されているのが特徴です。旬は10月から4月で、産卵前に栄養を蓄えるため、この時期が最も美味しいといわれています。代表的な生産地は広島・宮城・岡山で、なかでも広島は日本最大の産地です。市場に出回る真ガキのほとんどは養殖によるものです。
<岩ガキ>
大型で殻が分厚いのが特徴です。日本海を中心に天然物が多いですが、近年では養殖も行われ、ブランド化されています。旬は6月から9月の夏で、真ガキよりも濃厚とされ、「海のチーズ」と呼ばれることもあります。
スーパーで見かける生食用・加熱用の違いは?
<生食用>
生食用は食品衛生法に基づき、海水中の大腸菌数が定められた基準を満たした海域で採取されたもの、あるいは、同等の基準を満たした海水または人工塩水で浄化したもの。
<加熱用>
加熱用は栄養豊富な海域で育ち、旨味が濃いといわれますが、衛生基準上は生食に不向きで浄化処理は行われないものです。「生食」不可ですが旨味が濃く加熱料理に最適といわれます。
京都でも養殖が盛んです
<久美浜湾(京丹後市)>
内湾性が強く、静かな環境でカキ養殖が行われています。
真ガキが中心で、冬の味覚として人気。地元のカキ小屋では新鮮な焼きガキやその他カキ料理を提供しています。
<伊根湾(伊根町)>
舟屋で有名な景観の中で育つ 伊根産岩ガキ「夏珠(なつみ)」 をブランド化。
3年かけて育てられ、大きいものは500gを超えるといいます。マイルドな味わいが特徴。
滅菌海水装置を導入し、生食用としても出荷可能。
<舞鶴湾(舞鶴市)>
舞鶴湾はリアス式海岸のためプランクトンが豊富でミネラルを含む清流が流れ込む好環境です。
舞鶴かきは昭和27年頃から養殖が始まりました。真ガキは冬(12月〜3月)、岩ガキは夏(6〜8月)が旬を迎えます。
特に岩ガキは「丹後の海育成岩がき」としてブランド化。
猛暑による被害
2025年、瀬戸内海沿岸で高水温や貧酸素状態が原因とされるカキの大量死が発生。
養殖業者に大きな打撃を与え、供給量や価格にも影響が懸念されてます。
京都の日本海側は瀬戸内海と環境が異なるため直接的な被害は少ないようです。
カキを楽しむ場所はあちこちにある
パック詰め、殻付き、加工品など様々な形で販売され、定食屋では定番のカキフライとして親しまれています。海辺では牡蠣小屋、都会ではオイスターバーと、カキを楽しめる場はあちこちにあります。
定番料理
カキフライ:定食屋や居酒屋でおなじみのみんな大好きサクサクフライ
カキ鍋:冬の定番。味噌仕立ての鍋であったまりたい
カキの酒蒸し:酒で蒸すことでカキの旨みを最大限に引き出すことができます
カキの炊き込みご飯:牡蠣の出汁が染み込んだご飯は格別
生ガキ:レモンやソースでカキそのもののシンプルな味わいを楽しむ
カキグラタン:ホワイトソースとチーズでの相性も抜群で濃厚な味わいに
カキのパスタ:ガーリックやクリームソースなどを使ってアレンジを楽しみます
このほかにもお好み焼きやチヂミなど、メニューを問わず、和洋中何にこだわるいことなく活躍する食材であるカキ。栄養価も高く、比較的手に入りやすいこの季節に、ぜひいろいろな料理で楽しんでみてはいかがでしょうか。